つくねん

思ったことや感じたことを書きとめる場として。

救急外来の公衆電話

先日、大学病院での出来事。

 

用事を済ませて、帰ろうとした時

救急外来の入り口横にある、少し奥まったところで泣き崩れている女性がいた。

誰かに向けて電話をかけているらしかった。

嗚咽して苦しそうな声で、はやくきて、と言っているのが聞こえた。

 

ここは病院だし、救急外来の公衆電話前だし、

たぶん、でもなく、彼女にとって大切な誰かが搬送されてきた

ということは明白だった。

 

私はそのまま外に出たけれど、

彼女が呼んだ誰かはすぐ病院に駆けつけてくれただろうか。

彼女はあの時、途方に暮れていて、とてつもない孤独の中にいたように思う。

そしてその瞬間の彼女を支えていたのは、救急外来の、人目に付かない位置に置かれた緑色の公衆電話だった。

文字通り、その公衆電話にすがるようにして、彼女は誰かを呼んでいた。

 

あの公衆電話から、どれだけの電話がかけられたのだろう、と考える。

嗚咽交じりに、あるいは淡々と、時には何も発せられず。

あの公衆電話は、どれほどの人を支えてきたのだろう。

あの公衆電話から、どれほどの人が呼ばれたのだろう。

 

そんなことを考える。